裏側のハナシ

イスラエルがガザ地区への無差別攻撃を激化させる理由

イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃は一向に止む気配がありません。

 
パレスチナ人の死者は3万人をはるかに超え、飢餓も深刻化し、多くの避難民が行く場を失っています。

 
ネタニヤフ首相は「ハマスの一掃のためには欠かせない攻撃だ」と主張し、病院であろうと学校であろうと、「ハマスが潜伏している」と一方的に宣言し、無差別攻撃を止めようとはしません。

 
その背景には、ガザ沖に発見された巨大な油田の利権を独占しようという意図が隠されています。

 
そのためにも、パレスチナ人を一掃しようというわけです。

 
事態を懸念するエジプトやカタールが仲介役を演じ、停戦と和平への道筋を見出そうとしています。

 
また、アメリカからもブリンケン国務長官やバーンズCIA長官らが乗り込んでいますが、イスラエルは全く聞く耳を持っていないようです。

 
国連も有効な手立てを講じることができていません。

 
業を煮やしてか、国際司法裁判所ではネタニヤフ首相を戦争犯罪人として逮捕状も出しました。

 
その一方、トランプ前大統領の娘婿のクシュナー氏などは、ガザ地区の再開発プロジェクトへの参入を画策し、高級リゾートの建設を推進し、「今が投資のビッグ・チャンス」と大々的な売り込み合戦を展開中。

 
利に敏い不動産王として名を成したトランプ前大統領も後押ししている模様です。

 
そうした動きと歩調を合わせるかのように、2024年5月、ネタニヤフ首相は「ガザの2035年」と銘打った未来図を発表しました。

 
それによれば、イスラエルがパレスチナ人を全てエジプト経由でアフリカ等に追い出した後、ガザ地区を中東最大の自由貿易特区に大変身させるとのこと。

 
第1段階では、1年をかけて、イスラエルがガザ地区に人道的支援を投入し、南北に渡って安全地帯を整備。

 
第2段階では、5年から10年をかけて、周辺のアラブ諸国の協力の下、ガザ復興地帯を建造するとのこと。

 
これは第2次世界大戦後のアメリカの「マーシャル・プラン」を模したもの。

 
第3段階では完全な自立地帯が完成し、世界が羨む「自由で豊かな新経済特区」が誕生するとのシナリオです。

 
果たして、そんな絵にかいた様な未来図が実現するでしょうか。

 
これまでイスラエルとパレスチナの2国家共存という理想を目指していたはずが、いつの間にか、パレスチナを地上から消し去るというわけです。

 
これでは怨念の連鎖は未来永劫に続くことになるでしょう。

 
2035年にガザ地区を「地上の楽園」に生まれ変わらせるという夢物語は「捕らぬ狸の皮算用」でしかないように思えてなりません。

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